市場環境の変化もあり、ここ1~2年、スマートフォンの価格と内容について、敏感なユーザーが少しずつ増えているようだ。
かつてはできるだけ長く使えるように、もっともハイスペックなモデルを選ぶ傾向が強かったが、最近ではスマートフォンに求めるスペックや機能と価格のバランスを考え、堅実に選ぶユーザーが増えた。その結果、市場全体の売れ筋が変化してきたようだ。つまり、価格が5万円であれ、20万円であれ、その端末がユーザーにどんな価値、どんな体験、どんなメリットをもたらしてくれるのかによって、判断されているわけだ。
そんな国内市場において、着実に支持を拡大しつつあるのが中国のシャオミだ。元々、中国国内だけでなく、グローバル市場でもシェアを拡大していたメーカーのひとつだが、日本市場への参入は2019年12月と遅かった。
しかし、昨年6月に発売された「Redmi Note 9S」などから「優れた製品を『適正な価格』で提供する」という方針を明確に打ち出し、ミッドレンジのモデルを中心に、コストパフォーマンスの優れた製品を展開し、国内市場でも徐々に認知されるようになってきた。こうしたシャオミの取り組みは元々、同社のファンだったユーザーだけでなく、携帯電話会社などにも認められるようになり、昨年9月には初のキャリア向けモデルとして、auから「Mi 10 Lite 5G XIG01」が発売され、今年もソフトバンクから2万円前後で購入できる5G対応端末「Redmi Note 9T」が発売されている。
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今回発売された「Mi 11 Lite 5G」は、オープン市場向けに展開される5G対応のSIMフリーモデルになる。
ただし、グローバル向けモデルをそのまま持ち込んだわけではなく、後述するようにFeliCaを搭載し、おサイフケータイに対応するなど、日本向け独自仕様をサポートしたオリジナルモデルとして仕上げられている。
シャオミとしてはすでにソフトバンク向けの「Redmi Note 9T」でFeliCaを搭載した実績があり、技術面はクリアされているが、キャリアが販売するキャリア向けモデルと違い、オープン市場向けの海外メーカー製SIMフリー端末でFeliCaを搭載するケースは、OPPO Reno5 Aなど、ごく一部のモデルに限られており、シャオミとしての本気度を感じさせる。
ちなみに、シャオミは「Mi 11 Lite 5G」の後に発表されたau向けの「Redmi Note 10 JE」でFeliCa搭載に加え、防水防塵対応にも取り組んでいる。
ところで、以前にも本連載で説明したが、シャオミの端末ラインアップは日本のユーザーにまだなじみがなく、少しわかりにくいので(筆者もよく混乱する)、整理しておこう。
シャオミのラインアップの内、「Mi」の名が冠されたモデルの内、「Mi MIX」シリーズ(日本未展開)と「Mi」シリーズをプレミアムフラッグシップ、「Mi Note」シリーズと「Mi T」シリーズ(日本未展開)をフラッグシップに位置付けてられている。
これに対し、「Redmi」の名が冠されたモデルは、「Redmi Note」シリーズをミッドレンジ、「Redmi」シリーズをエントリーに位置付けている。
国内市場向けには正式に展開されていないが、この他にもインド向けとしてスタートした「POCO」ブランド、シャオミが出資するゲーミングスマートフォン「Black Shark」ブランドなどが存在する。
今回発売された「Mi 11 Lite 5G」をこの分類に当てはめると、フラッグシップモデルの一翼に位置付けられ、型番としては昨年、auから発売された「Mi 10 Lite 5G」の後継モデルになる。
昨年、auから発売された「Mi 10 Lite 5GXIG01」(左)、今回SIMフリー版で発売された「Mi 11 Lite 5G」(右)の前面。インカメラはノッチからパンチホールに変更された「Mi 10 Lite 5GXIG01」(左)は左右側面が湾曲した形状であるのに対し、「Mi 11 Lite 5G」(右)はフラットな仕上がり。カメラ部も大きくデザインが変更された「Mi 10 Lite 5GXIG01」(左)と「Mi 11 Lite 5G」(右)を並べて、下部側から見たところ。背面の形状や厚さが異なることがよくわかるFeliCa搭載という日本仕様が盛り込まれているものの、外観やデザイン、サイズなどはグローバル向けに今年3月に発表された「Mi 11 Lite 5G」と共通仕様になっており、おそらくカバー類や保護フィルムなどは共通のものが利用できると推察される。
価格は販路によって、少し違うが、今月19日にオープンしたシャオミの公式オンラインショップ「mi.comストア」では、4万3800円で販売されているほか、家電量販店やMVNO各社でもほぼ同等の価格で販売されている。
また、シャオミが元々、中国市場において、通販で拡大した経緯もあり、国内ではAmazonなどのECサイトでの販売に注力してきたため、ユーザーが実機を触る機会が少なかったが、最近ではヨドバシカメラなどの家電量販店にも展示コーナーができており、実機を試すことができる。