「OpenShot」v2.6.0
無料の動画エディター「OpenShot 2.6.0」が、8月25日に公開された。AIとコンピュータービジョン(CV)を用いた新しいビデオエフェクトが導入されたほか、ノイズ除去やイコライザーといったオーディオエフェクトが追加されるなど、史上最大といえるアップデートとなっている。
「OpenShot」は2008年、Linux環境で動作するシンプルな動画エディターを開発するためにスタートしたオープンソースプロジェクト(ライセンスはGPL)。クロスプラットフォーム対応のGUIライブラリ「Qt」やマルチメディアライブラリ「FFmpeg 4」をベースとしており、現在はWindowsとMacでも利用できる。Windows版の対応OSは、Windows 7以降。70カ国語に対応しており、日本語でも利用できる。
「OpenShot 2.6.0」の目玉は、AI/CVビデオエフェクトが初めて搭載されたことだ。カメラの振動やモーションを計算して完全に除去する手振れ補正(Stabilization)、ビデオ内の任意の要素の周りにボックスを描き、各フレームを通じて座標を追跡するトラッカー(Tracker)がといったエフェクトが利用できる。さらに、ベータ版としてシーンに映っている被写体を識別し、その種類を判別してボックスとラベルを描画するオブジェクト認識(Object Detection)エフェクトが搭載されている。環境構築に若干手間がかかり、GPUパワーを消費するのが難点だが、今後の可能性を感じさせる機能だ。
シーンに映っている被写体を識別し、その種類を判別してボックスとラベルを描画するオブジェクト認識エフェクトまた、オーディオエフェクトも拡充された。オーディオライブラリ「JUCE」の実装に基づいた9つのエフェクトが追加されており、すべてリアルタイムで機能する。
そのほかにも、ズームスライダー(仮称)と呼ばれるウィジェットが追加され、タイムライン全体を俯瞰できるようになった。「OpenShot」はトラックを無限に扱えるが、歴史的にタイムラインをスクロールやパン、ズームしながら全体を把握する操作を苦手としていた。今回追加されたズームスライダーはそうした「OpenShot」の弱点を補う機能として期待されている。
また、任意のクリップを選択すると自動的にトランスフォーム(変形)モードが有効となり、サイズ変更、回転、拡大縮小、位置調整、クロッピングなどの操作が直感的に行えるようになった。字幕の管理とレンダリングを容易にするビデオエフェクト、「OpenMoji」プロジェクトからもたらされた約1,000個もの絵文字、マウスホイールを利用したビデオプレビューのズームイン・アウトなどもビデオ編集に役立つだろう。パフォーマンスも向上しており、より少ないリソースで動作するようになったのもうれしい。
ズームスライダーと字幕エフェクト「OpenMoji」プロジェクトからもたらされた約1,000個もの絵文字なお、本バージョンでは「Chrome OS」(Chromebook)が正式にサポートされているとのこと。公式のダウンロードページから64-bit AppImageをダウンロードできるようになっている。