想い出に残る、懐かしのマイコン・パソコンを写真とともに振り返る本コーナー。今回取り上げたのは、富士通のFM77AVシリーズ3代目となる機種から「FM77AV20EX」です。発売は1987年。
富士通が1985年にリリースしたFM77AVは、4,096色を同時に表示できるということで大きなインパクトを与え、専用ソフトも発売されることになります。“色数を増やす”という路線で進むことを決めた富士通はその後、後継機種として翌年に、同時発色数26万色を実現したFM77AV40、そしてFM77AV20を市場へと投入します。さらにその1年後となる1987年11月、FM77AVシリーズ3代目としてリリースしたのがFM77AV20EX/40EXでした。
今回取り上げたFM77AV20EXは、回路のLSI化によってMMR使用時のスピードアップを実現したことなどが広告で大きく打ち出されていました。その差は、FM77AV20比で25%もの上昇に!
また、FM77AV20ではサポートしていなかったDMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)機能も搭載しています。これにより、音楽演奏を行いながらディスクをアクセスさせるといったことが可能になっています。もちろん、FM77AV20の動作クロックもサポート。さらに、日本語カード(FM77-211)を装着することでJIS第2水準漢字を利用可能になるほか、OASYSライクなカナ漢字変換使用できます。標準で搭載しているメインメモリは128KBですが、最大で192KBまで拡張することができました。
広告は、スペック部分の紹介については3パターンほどあったようです。うち1パターンはFM77AV40EXをメインとして扱っていたので、今回はFM77AV20EX/40EXとして掲載されているものを選んでみました。内蔵しているVRAMの容量はFM77AV20と変わらず96KBですが、カセットインタフェースが削除され、キーボードがワイヤレス方式からワイヤードのみに変更となっています。ただし、FM77AV20-2(2ドライブモデル)が168,000円だったのに対して、FM77AV20EXは2ドライブモデルのみのラインアップで128,000円と、大幅なプライスダウンとなっていますので、時代を考えると順当な仕様変更だったのかもしれません。本体リリースと同時にFM77AV20EX用15インチブラウン管ディスプレイも発売されていて、21ピンマルチ端子を装備しつつ音声多重放送と2000文字に対応したモデルが108,000円でした。
本体正面左下にはキーボード接続端子が、その隣にはやや大きめの電源スイッチ、音量・バランス調整つまみ、高速/低速モード切り替えスイッチ、BASIC/DOS切り替えスイッチ、各種インジケータ、ジョイスティック接続端子×2、リセットボタンと並んでいます。上辺の左右が丸みを帯びているため、比較的優しい印象を受けます。この時期は、テレビ放送の電波の隙間を利用した「文字放送」が行われていましたが、それを受信するためのオプションカードとして「文字放送カード(FM77-171)」が38,000円で発売されています。対象機種はFM77AVシリーズ全機種で、広告では「この文字放送カードにより、AVシリーズがパソコン、テレビ、文字放送受信の一台3役となり、マルチ情報ターミナルとしてさらに便利になりました」と謳われていました。しかも、受信した文字放送の情報をフロッピーディスクに保存しておき、好きな時に再生することもできます。
本体背面は左上から拡張FDDポート、オプションI/Oポート。その下がRS-232Cコネクタ、左右音声入出力端子、映像入力端子、RGB21ピンマルチ出力。最下段にはI/O拡張バス、プリンタポート、外部アダプタ接続端子となっています。右端には、200Wまで使用可能なサービスコンセントも用意されていました。専用のディスプレイがある場合は、ここへ接続するのが一般的です。また、同時期にはハンディ・イメージ・スキャナ(24,000円)と、専用インタフェースカード(15,000円)も発売されていて、これらを使えばイラストや写真を白黒16階調で取り込むことができました。その画像をFMファンタビジョン(15,000円)で使えば、アニメーションを作成して楽しむことも可能です。当時この組み合わせで本機を使い、アニメーターとしてデビューした人もいるかもしれません!?
富士通はFM-7/FM-77シリーズでタモリさんをイメージキャラクターとして起用してきましたが、FM77AVやFM77AV20/40ではキャラクターを使っていません。しかし、本機からは新たに南野陽子さんが担当となり、FM77AV40SXまで広告ページを賑わせてくれることになります。